死ぬほど驚いた、同窓会の話
十年ぶりに開かれた中学校の同窓会で、見覚えのない女がいた。アニメオタクだったダサい女子グループ五、六人に混ざり、談笑している。
ネズミ色のくびれのないワンピースや母親から借りてきたんじゃないかと思われるエンジ色のスカーフを巻いたオタク女達とは、明らかに人種が違う。栗色の髪を胸のあたりでカールし、Vネックの白いニットにAラインの黄色いスカート。細い足首に華奢なアンクレットが光り、五センチはある細いヒールを履いている。
あんなイケてる女、竹下中学にいたっけ?
オタクグループといるってことは、あいつらの仲間? オタクの一人が脱皮して蝶に変身したとか?
女は、シャンパングラスを持ったまま一人で移動し、竹下中学一のイケメン、原田君に近づいた。二人はグラスで乾杯し、談笑を始めた。女が原田君の肩に、笑いながらタッチすると、原田君は嬉しそうに鼻の下を伸ばしている。
何だぁ、あの女~~!
中学の頃、原田君に片思いしていた私は、腹の底からムカムカしてきた。私の原田君に気安く触るんじゃねぇっ!
「ねえ、あの女、誰!? 思い出せないんだけどっ」
私は隣にいた友人・ミカの腕をグッと掴んで聞いた。
「イタタタ。どうしたのよ、一体」
「原田君といる、あの女よぉぉ」
「ああ、あれ。佐々木君。性転換したんだって。知らなかった?」
ミカはあっさりとした口調で言った。
「綺麗になったよねー」
うそっ! 佐々木君? 柔道部の?
私は顎が外れるんじゃないかってくらい、口をアングリと開けて固まってしまった。