作家志望で三児育児中の40代主婦

長女(8歳)、次女(3歳)、長男(1歳)の育児をしながら、小説やエッセイを書いています。

死ぬほど驚いた、同窓会の話

f:id:minamuchan:20210522004640j:plain

同窓会

 

 十年ぶりに開かれた中学校の同窓会で、見覚えのない女がいた。アニメオタクだったダサい女子グループ五、六人に混ざり、談笑している。

 ネズミ色のくびれのないワンピースや母親から借りてきたんじゃないかと思われるエンジ色のスカーフを巻いたオタク女達とは、明らかに人種が違う。栗色の髪を胸のあたりでカールし、Vネックの白いニットにAラインの黄色いスカート。細い足首に華奢なアンクレットが光り、五センチはある細いヒールを履いている。

 あんなイケてる女、竹下中学にいたっけ? 

 オタクグループといるってことは、あいつらの仲間? オタクの一人が脱皮して蝶に変身したとか?

 女は、シャンパングラスを持ったまま一人で移動し、竹下中学一のイケメン、原田君に近づいた。二人はグラスで乾杯し、談笑を始めた。女が原田君の肩に、笑いながらタッチすると、原田君は嬉しそうに鼻の下を伸ばしている。

 何だぁ、あの女~~!

 中学の頃、原田君に片思いしていた私は、腹の底からムカムカしてきた。私の原田君に気安く触るんじゃねぇっ!

「ねえ、あの女、誰!? 思い出せないんだけどっ」

 私は隣にいた友人・ミカの腕をグッと掴んで聞いた。

「イタタタ。どうしたのよ、一体」

「原田君といる、あの女よぉぉ」

「ああ、あれ。佐々木君。性転換したんだって。知らなかった?」

 ミカはあっさりとした口調で言った。

「綺麗になったよねー」

 うそっ! 佐々木君? 柔道部の?

 私は顎が外れるんじゃないかってくらい、口をアングリと開けて固まってしまった。